加えて最近は、ダイバーランキングなるものもあり、よく名前が上がるのがモハメド・サラーとネイマールで、もっと歴史を紐解けば、クリスティアーノ・ロナウドもロッベンもそんな風に言われていました。
何はともあれ、今はシミュレーションやダイブなどそういう文化も含めてフットボールなのでしょう。
そもそもですが、ダイブやシミュレーションは審判を欺くプレーであるため、常習的にこの行為を行うプレイヤーは「ダイバー」という悪名が付き纏い、悪いイメージを持たれるようになりますが、フットボールの世界におけるダイブやシミュレーションは本当に悪いのでしょうか?
接触に対する各国の考え方
ダイブ・シミュレーションはそんなに強くないあたりでも審判にアピールする様にこけて、審判を欺き、自チームに判定が有利に働かせるというのが一番の狙いです。
こういう行為や考え方は南米選手や南米地域に多く、上手くファールを貰って、試合を有利に進めている所は色々と勉強になる場合もあります。
基本的には、自チームが攻撃している場面で、ボールを奪われてカウンターを喰らわない為に中盤の選手が体を張ってファールをし、試合を遅らせるのと結果だけは一緒です。
カウンター阻止の場合はプロフェッショナルファールと言われるし、ダイブやシミュレーションはそうは言われません。
南米の選手の認識や文化では、試合を有利に勧める手段としてのダイブ・シミュレーションも悪くないものらしく、日本の文化に当て嵌めればずる賢いという言葉に当て嵌まるでしょう。
しかし、所変わって、欧州のイングランドやドイツではそうはいきません。
イングランドの場合はフットボール発祥の地という文化から、こういう非紳士的行為はかなり嫌われますし、そもそもぶつかってなんぼという認識があるので、そこで倒れるなんて、線の細い選手とかひ弱な選手と周りにアピールしているようなものです。
ドイツに至っては、当たってくる選手をはじいてこそ強い選手という認識なので、ちょっとの接触で派手に飛ぼうものなら、イングランド以上に選手としての価値を落としてしまいます。
(日本だとあたりに強い選手と言えば、人がぶつかってきても倒れないという認識だが、ドイツのあたりの強い選手というのは、ぶつかってきた選手を弾き飛ばすというのが強いという認識らしいです。つまり、当たられて倒れないというのは普通。)
スペインに関しての接触プレーの見識を知らないので予想でしか書けませんが、おそらく体を当てられないというのが第一で、当たってくる選手に対して、かわすとかいなすというのが良い選手になるのだと思います。
つまり、文化的には自分達は当たりに強くないという認識からスタートしているのだと思います。
接触に関する考え方が地域やリーグ、国によって違うので、ダイブが良い悪いの前に、選手の身体的な能力としてどうなのか?というのが前提にありますし、審判の接触に関する見解の相違もあったりで、意見や考え方が統一されていないという側面もあります。
ダイブも自衛
ダイバーと呼ばれる選手達に1つ共通している事があり、それが線が細いということです。
彼らにとって、ダイブやシミュレーションは褒められた手段ではないにしろ、短い選手生命を守る手段であり自衛です。
相手のDFはまさに壁でこちらから当たっても動かない。
むしろ、そんな屈強な相手に試合ごとに当たられては、線の細い選手達は体が持ちません。
あたられても(あたりの強さに限らず)踏ん張らずに飛んでいくとかシミュレーションを狙うのは、試合の結果や自身の周りの評価も去ることながら、短い選手生命の中では必要悪なのではないでしょうか?
ロシア大会でもダイバーとして話題のネイマールは、ブラジルのサントス時代は相手をかわすのに非常に長けていて、被ファール数は多いものの怪我につながるようなものは少なかった選手です。
つまり、それだけ体の使い方が上手かったし、ネイマールが評価されていたのはその点もありました。
おそらく、サントス時代のネイマールを知っている人なら、彼がダイバーと呼ばれる未来は想像できなかったでしょう。
しかし、今となっては良い選手であるとともに、ダイバーとしても名を馳せました。
南米の選手が欧州に行く際、必ずと言って良い程、体つきに関して注文が付きます。
結局、この体つきの課題をクリアしないで、結果を求める限りそのリスクとしてダイバーという汚名も被らなければならないのだと思います。
(ただ、現状の様にピッチを派手に転びまわるのはやりすぎだとは思う)
ダイブ・シミュレーションの今後
2016年のロシアワールドカップからVARが導入されました。
早速、その恩恵でシミュレーションによるPKが取り消されたりもしました。
結果からみれば、ダイブやシミュレーションは悪いプレイなので取り消されたのでしょう。
VARが今後も活用されれば、ダイバーの抑止力となってダイブは減るでしょう。
こうなってくれば、確かにフェアな試合が多くなると思います。
ただ、今までの線の細い選手達にとっては、かなり厳しい状況になるのは確かで、体つきを良くするか、細い体のまま怪我とともにフットボールをするという選択肢に迫られます。
これが各国、各地域に根付く接触に関する考え方にどう変化が現れるのか?どう対処するのか?というので、今後のサッカー強豪国の序列が変わるかもしれません。
それでは!