08/09チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦2ndレグ、リヴァプールvsレアルマドリード。この試合リヴァプールはマドリード相手に4-0で勝利した。当時のマドリードは
ファンデ・ラモス監督の下、カシージャスにカンナバーロ、ペペにセルヒオ・ラモス、ガゴにスナイデル、ロッベン、イグアインにラウールという錚々たるメンバーだった。
このメンバーは間違いなく強いし、レアルマドリードを背負ってプレイするには恥じない面々だ。それでもリヴァプールはマドリードが理想とするフットボールをマドリード相手に展開して、完膚無きまでに叩きのめした。
試合内容はどっちがマドリードなのか見間違えるくらいのものだった。
筆者は有り難い事に、この試合を現地・アンフィールドで見た。強豪同士の試合を生で見れたのは最高だ。
しかし、一番嬉しいのはジェラードの本である「君はひとりじゃない スティーヴン・ジェラード自伝」の中で、ジェラードが観た中でベストかも知れないフェルナンド・トーレスの仕事を現地で見れた事だ。
確かにあの時のトーレスは凄まじく凄かった。
また、アンフィールドのあの雰囲気を体感し、ジェラードのスーパーゴールを生でみれたのも、高い旅費のお釣りが帰ってきたような気もした。
君はひとりじゃないの始まり
この本の最初はスアレスの移籍騒動から語られる。あの騒動では、スアレスはオーナーに腹を立て、監督やクラブ上層部に嘘をつかれたと言い、リヴァプールを去ろうとしていた。
この嘘とは(スアレス曰く)CLの出場権を得られなかったら、リヴァプールを出ていっても良いという内容だった。
当然、この移籍騒動のシーズンはCLの出場権を得られなかったので、出ていっても良いわけだが、12-13シーズンにリヴァプールで96試合、51点を取ったスアレスが出ていけば、クラブとしても大打撃になるので移籍を容認するわけもなく、揉めていたという具合だ。
そんな事情の中、ジェラードは”様々なジェラードとして”暗躍し、板挟みにあう。
リヴァプールのキャプテンとしてのジェラードは、監督やクラブの意思と選手を繋ぐ存在として現場でのトラブル解決に手を貸す。日本で言う所の中間管理職みたいなものだ。
レッズ(リヴァプールサポーターの愛称)としてのジェラードは、チームの翌シーズンも上位を狙うためにスアレスを引き止める。彼なしにリヴァプールが勝てないのは一目瞭然だから。
他方選手としてのジェラードは、スアレスを強くリヴァプールに引き止められない。何故なら、選手としてビッグクラブに移籍して良い金を貰い、名誉を得るという欲望も理解できるし、スアレスを残したからと言って、彼の願いでもあるCL出場を確約できないからだ。
そんなジェラードの葛藤や悩みは、何も高級取りの彼にだけ起こり得る問題ではなく、普通に働いている人にも理解できるものだと思う。
そういう意味では、この移籍騒動でちょっとした親近感をジェラードに覚える人も居ると思う。
スアレス移籍騒動の結末
この移籍騒動の結末だが、様々な立場で動いてたジェラードは居ても立ってもいられない気持ちになり、一度3者で話しあおうとスアレスと監督に提案し、スアレスと監督とキャプテン(ジェラード)の3者で話し合い、落とし所を見つけて何とかスアレスは残留となった。
ちなみに、スアレス獲得に本気で動いていたのはこの時はアーセナルだけだった。
結果論だが、スアレスの残留は大正解だった。
何故なら、今バルセロナに居て大活躍している訳だから。
ジェラードのお気に入りプレイヤー
この本の中でジェラードは度々、一緒にプレーした選手の中でお気に入りの選手を4名挙げている。
その4名はシャビ・アロンソ、フェルナンド・トーレス、スアレス、ルーニーだ。
シャビ・アロンソと並んでプレイするのは楽しく、トーレスとスアレスとルーニーに関してはその才能に惚れ込んでいた。
何かとお騒がせなスアレスだが、本書の中でジェラードはスアレスをかなり尊敬していたし、信頼している。
スアレスは噛み付いたりするが、練習や試合ではかなり貪欲で、チームの勝利や点を取ることに対して一切手を抜かない。
プライベートでも妻と子供愛し、何よりも家族を大事にしているという。
ジェラード曰く、彼を批判するのは彼の内側を知らない人だけだという。