2006年8月に発生した「福岡海の中道大橋飲酒運転事故」を境目として、飲酒運転に関する罪と罰が大きく変わりました。
この厳罰化以降、飲酒運転に対する罪の意識が多くの日本人の中で変わりましたが、それでも飲酒運転は減りません。
(当たり前ですが、飲酒運転はアルコール類の購入価格をどんなものであれ、最低10000円にするとか販売しないとかそういうウルトラCくらいの難技かつ、荒業をしない限り0にはならないでしょう)
今は事業で車を使う業種(運送業、タクシー、バス、等々)は日々のアルコールチェックは義務化されており、概ねこれらの業種での飲酒運転というのは発生していません。
しかし、2021年6月、千葉県八街市で飲酒運転のトラックに小学生5人がはねられ、死傷した飲酒運転の事故があります。
このトラックは、事業用車でなく自家用車で、会社などでアルコールチェックは実施されていませんでした。
この事故の結果をうけて、これまで行われていなかった白ナンバー(自家用車)でのアルコールチェックも義務化されることになりました。
目次
アルコールチェック義務化はいつから?4月?10月?その概要
このあらゆる会社や事業所で今後義務化されるアルコールチェック。
「いつから?」という方もいるでしょうが、実は2022年4月からすでに運用が開始されていますし、2022年の10月からも始まります。
ただし、その運用方法というのが4月と10月では違います。
4月からのアルコールチェック義務化の内容
4月から運用されているものには関しては…
- 運転前後の運転者の状態を目視等で確認して、運転者の酒気帯びの有無を確認すること。
- 酒気帯びの有無について記録し、その記録を1年間保存すること。
となっています。
10月からのアルコールチェック義務化の内容
2022年10月から運用が開始されるアルコールチェック義務化に関しては…
となっています。
4月からのアルコールチェック義務化と10月からのアルコールチェック義務化の違い
4月と10月でアルコールチェック義務化の運用が違うこの道路交通法。
4月からの運用は、基本的にはアルコールチェッカーなどで機械的に測定する必要はなく、あくまで、目視や呼吸等で酒気をチェックするというだけで良いです。
加えて、その記録を1年にわたって保存することも義務付けられています。
10月からは国家公安委員会が定めるアルコール検知器の常時有効化と保持、使用が含まれており、大きな違いはアルコール検知器の有無になるでしょう。
ちなみにですが、「運転前後」となっているので、基本的にはアルコールチェックは、社用車、家用車等で出発する前と帰社した後の計2回を1日のうちに最低でも行うことになります。
また、10月からは1年間の記録保存の条文は無いですが、基本的には記録を保存することになるでしょう。
番外編!アルコールチェッカーでの誤検知や誤作動
ここまで読んで頂いた方は、おそらくアルコールチェッカーを使用して会社の従業員や上司同僚部下のアルコールチェックをすることになるでしょう。
このアルコールチェッカーは、基本的にはアルコール検知は抜群で間違いないのですが、時として誤検知・誤作動する事があります。
具体的には、納豆やチーズなどの発酵食品、口臭予防剤(有名所であれば、マウスウォッシュやモンダミン)、栄養ドリンク(エスカップやリポビタンD)を飲食したり、使用した直後にアルコールチェッカーに息を吹きかければ、誤動作、誤検知します。(中には、アンパンで検知したなんて事もあります。)
アルコールチェッカーが反応すれば、被対象者は飲酒の可能性が疑われるわけですが、もし本人が飲んでいないと証言して、それでも検知された場合は、これら赤文字で記載したものを飲食していないか?使用していないか?を確認すべきだと思います。
仮に誤動作、誤検知が疑われるのであれば、被対象者に一度水などでうがいをしてもらった後に、再検査すれば、正確なチェックが可能になります。
また、近年はコロナ対策の一環であらゆる所に、消毒液やアルコールがあります。
これが仮にアルコールチェッカーにかかった際には、長時間に渡って検知される事もあるので、なるべく、アルコールチェッカーと消毒剤は距離を置いたほうが良いでしょう。
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アルコールチェック義務化に向けてやるべきこと
アルコールチェック義務化に向けてやるべき事はなにもアルコールチェッカーの購入だけではありません。
実は、他にも色々やることがあるので以下にまとめてみます。
安全運転管理者の選任
各会社、各事業所のアルコールチェックの義務化にあたり、一定台数以上の自動車を使用する所は、事業所・会社事に、車両の運行管理や安全運転に必要な業務を行う者として、「安全運転管理者」の選出が必須です。
(アルコールチェック義務化が適用される会社・事業所の基準ですが、私用車自家用車問わず、乗用車であれば、定員11人以上の車を1台以上所有、または、その他の自動車(トラック、白ナンバー)を5台以上使用する事業者が対象となります。
また、安全運転管理者を選出した際は、その日から15日以内に、事業所の管轄にある公安委員会へ届け出を行わなければいけません。(各都道府県、概ね警察本部庁舎内にあるようです)
記録簿の作成・保管
4月から施工されているアルコールチェック義務化では、チェック内容を、日誌や電子的方法等で記録し、1年間保存しなければいけません。
アルコールチェックの記録方法としては、おそらく手書きで、そこ独自に作成した記録簿に記録したり、エクセルや勤怠管理システム、アプリ等で追記したりすることになるでしょう。
アルコールチェック義務化全般に関する罪と罰
法律ということで、守られなかった場合の罪と罰則があります。
安全運転管理者などの選任をしなかった場合は、その会社事業所に5万円以下の罰金、安全運転管理者の届け出を行わなかった場合、2万円以下の罰金又は科料となっています。
また、アルコールチェック義務を怠った場合は、直接的な罰則はありませんが、公安委員会によって安全運転管理者を解任される、命令違反に対しての罰則が科せられる可能性があります。
アルコールチェックの義務を怠った場合は、罰金などの罰はありませんが、安全運転管理者に関しては、罰金が設けられているので、最低でも安全運転管理者の選任は必須になるでしょう。
最後に
ここまで、2022年4月と10月に改正される道路交通法とそれに関わるアルコールチェック義務化の概要や詳細を紹介してきました。
飲酒運転に対する世間的な風当たりや罰則の厳罰化、取締の強化は、2000年代初めと比べてかなり厳しくなっています。
飲酒運転によるセンセーショナルな事故が発生すれば、今後も必ず厳罰化や公的機関での取締の強化は起こりうるでしょう。
それはそれで非飲酒者などは良いのかもしれませんが、全体的には生きづらくなるのも事実です。
今後の罰則強化を避けるためにも、飲酒運転による事故が0とは言わずとも、被害の軽症化や件数の減少が全体的には最適なのかもしれません。
それでは!